意見書・補正書の作成
拒絶理由通知に対しては、指定期間内(40日)に意見書や補正書を提出し、審査官の判断を覆すことによって登録査定に導きます。
<反論のポイントは差異点の強調>
審査官は拒絶理由の中で、引例として引き合いに出した公知意匠や先登録意匠と、出願に係る意匠との共通点をあげて、両意匠の美感が共通すると結論付ける場合がほとんどです。
したがって、「対策の検討」のところで述べたように、意見書においては、主に、以下の点を強調します。
@ 審査官があげた両意匠の共通点は意匠全体の美感に及ぼす影響が小さい。
A これに対して、両意匠にはこのような差異点があり、こちらの方が意匠全体に与える美感への影響が大きい。
B だから、両意匠は全体として美感が異なり、非類似である。
また、2つの意匠の「意匠に係る物品」が異なれば、両意匠は非類似ですので、その点を主張する場合もあります。
<補正却下決定不服審判の制度>
「対策の検討」で述べたように、意匠の場合は補正が非常に難しい一方で、補正が却下された場合には、特許制度にはない「補正却下決定不服審判」を請求して争うことができます。しかし、請求しても、決定が覆ることが少ないため、この制度はほとんど利用されていません。
<補正却下後の新出願の制度がある>
補正が却下された場合、意匠法には補正によって変更した意匠の内容で新たな意匠登録出願をすることが認められています。しかも、その出願は先に却下された補正書を提出した日にされたものとみなされます。つまり、「先願」の観点から実際の出願日より、数か月、トクするわけです。この制度は、補正却下決定不服審判よりは、多く利用されているようです。